「居抜き物件」とは、前のテナントの内装や設備が残る物件です。厨房や冷蔵庫など、新規で購入すると高い費用のかかる設備もそのまま使用できれば、開業前の費用をかなり抑えられます。
ただし、老朽化やリース契約などの関係から、手入れなしで使えることは稀です。修理や改装箇所が多く、結果的に予想以上の費用がかかってしまうことも少なくありません。
居抜き物件の注意点をご紹介するので、飲食店の物件選びの参考にしてください。
居抜き物件で開業|物件情報の注意点
スケルトン物件に比べ、居抜き物件は申込前に確認できる情報が不確実になりやすいのは注意点のひとつです。
居抜き物件の中には、現在のテナントが解約意志を示しながらも、貸主と「申込があれば解約する」という合意を結んでいることがあります。
賃貸条件や造作譲渡にかかる費用は、申込後に話し合いで決めることになるケースも稀にあるため、申込の段階での情報は確定とはいえません。
また、現在のテナントや仲介業者が「居抜きで引き継げる」と想定して、貸主の許可なく募集をかけるケースもあります。
その場合、貸主の許可が得られなかった際に、実際は居抜きで引き継ぐことができません。
このため、想定と違う状態での契約になってしまう懸念があります。
申込時には貸主から居抜きで引継ぐ許可を得ているのか、必ず確認しましょう。
居抜き物件で開業|設備の注意点
高価な設備は、そのまま使うことができれば費用面をかなり抑えられるのが居抜き物件のメリットです。
ただし、場合によっては、引き継げない場合や、修理に大きな費用がかかってしまうこともあります。
老朽化した設備はオープン後に故障する可能性がある
設備が引き継げる場合でも、必ず現地で確認を行いましょう。
老朽化していた場合、オープン直後に故障してしまったり、思ったように使うことができなかったりする可能性があるためです。
厨房機器やエアコンをはじめ、店舗運営に必要な設備は何年くらい使用したかをそれぞれ確認しましょう。
必要に応じて貸主にメンテナンス業者などの紹介を受けたり、クリーニング業者や施工業者に設備の清掃・クリーニングを依頼したりすれば、安心して開業を迎えられます。
また、実際に施工を行う事業者と一緒に確認をすることも選択肢です。
当社でもご相談いただくケースも多く、厨房をはじめ設備のクリーニングも行なっています。お気軽にご相談ください。
リース契約の設備は引き継げないことも
前の店舗がリース契約をしている設備は、手続き内容によって次のテナントが引き継げないことがあります。
設備のリース契約では、設備はリース会社に返却するか、現テナントが再度リース契約を結んで延長するか、2つの選択肢があります。
リース契約の設備がある物件では、前のテナントと引き渡し後の契約内容に関する交渉が必要になるため、契約前に確認をしておきましょう。
業種・ジャンルが異なると改装や処分にコストがかかりやすい
前のテナントと業種・ジャンルが異なると、給排水の位置や厨房設備の変更、または使わない設備の処分に費用が嵩むことがあります。
例えばラーメン店だった居抜き物件でカフェを開業する際、カフェでは使用しない製麺機や茹で釜の処分に費用がかかることも少なくありません。
特に給排水やガス管、電気設備の配置やレイアウトの変更には専門的な知識や技術が必要です。
配置を変更すべきか迷ったら、工事をしなくても快適な運営が可能な設計を提案できるか店舗デザイン業者に相談してみましょう。
また、前とジャンルや店舗形態の異なる場合であっても、あえて設備を残すことでメニューの相違工夫やサービスの拡充につながるケースもあります。
カフェを開業しようと考えていたが、前の店舗がイタリアンでピザ窯を用意していたケースで、メニューに本格的なピザを導入することができたというケースもあります。
店舗のオリジナリティにつながるため、撤去を前提にするだけでなく、「居抜きだからこそ活かせないか?」という視点を持つことも大切です。
電気容量もチェック
設備の状態を調べるときは、電気の容量もチェックしましょう。
IHの導入など前のテナントの電気容量よりも多い電力を使いたい場合、大元の電気の組み込みから変えるため、予想以上に時間がかかることがあります。
価格交渉で破談になるケースも
居抜き物件の契約時には、前のテナントのオーナーと「造作価格」の交渉をします。
造作価格とは、壁や天井、トイレ、エアコンなど店舗内装に関わる各設備の価格です。
設備は中古なので、価格に明確な基準はありません。買い手と売り手の希望や事情に基づいて、主観的に決定することが通例です。
そのため双方が納得した価格に折り合いをつけるのが難しく、破談になってしまうケースもあります。
破談になってしまうこと自体が悪いわけではありません。お互いの予算や希望を踏まえながら、交渉していきましょう。
居抜き物件で開業|店舗デザインの注意点
既に設備やインテリアが整っていると改装前の費用は抑えられますが、前の店舗イメージの影響を受け、新鮮味を出しづらくなります。
全く新しい店舗としてオープンしたことがはっきり分かるよう、居抜き物件でもお店ならではのコンセプトをファサードや内装に反映させましょう。
当社はオーナー様とのお打ち合わせを重ね、居抜きであっても独自のこだわりが詰まった店舗デザインをご提案しています。
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内装や設備の確認もお任せください
居抜き物件に残された設備でも、故障や劣化のためにそのままでは使えないことは多いです。
内装譲渡金を支払う前に、設備の不備や故障の可能性などを適切に判断できる内装業者に確認を依頼しましょう。
コリドールでは、豊富な飲食店の施工経験に基づいて内装や設備の状態を確認し、オーナー様が運営しやすい内装工事を行なっています。
資金計画も伺ったうえで、既存の内装で活かせそうな部分はご提案し、新規で施工するよりも低い価格で施工することが可能です。
また、希望のお店にあうような物件紹介からも承っていますので、ぜひご相談ください。