飲食店の店舗を新しく開業するまでには様々なステップがあります。物件探しや設計・デザインの依頼はもちろん、仕入れルートの確保や商品の開発、スタッフの募集、登記など、さまざまなことをこなす必要があるためオーナー様にとっては煩雑になりがちです。
このため、開業までの流れを押さえておくことは重要なこと。ここでは、飲食店の開業にあたって準備する期間やそれぞれのタイミングについて紹介します。
①1年前|コンセプト
まずはコンセプトを決めましょう。コンセプトは、「5W1H」を意識して出来る限り具体的にします。客層、メニュー、立地、営業時間帯、なぜそうしたお店を作りたいのか、価格帯などを言語化することが重要です。
具体的なコンセプトを作ることで、設計・施工会社に依頼する際も理想の店舗イメージを伝えやすくなり、より齟齬のない形で完成イメージを共有することができます。
商品から店舗の内装まで一貫したイメージで進められるため、コンセプトを早めに決めることは統一感のあるお店作りに欠かせません。
またこの時期から、資金調達や事業計画書の作成、物件探しも始めていきます。この際、例えば物件費が明らかになれば大まかな建築費を割り出すことができるのが設計・施工を一貫して行う当社に依頼するメリットのひとつです。
このように資金調達や事業計画書、物件探しは互いに密接に関係しているので、同時並行で進めていきましょう。
ただし、コンセプトを考えつつこれらを同時並行することは大変です。そのため当社では、回転率や売り上げ単価といった収支計算や物件探しのお手伝いをしております。初めての飲食店開業で不安のある方も、ぜひお気軽にご相談ください。
②10ヵ月~半年前|資金調達と事業計画書の作成
開業後の資金調達もこの時期から準備しておきましょう。
調達には自己資金、個人間の借入、金融機関からの融資といった方法がありますが、特に金融機関からの融資の場合、事業計画書の提出が必要になります。担当者から信頼を得られるような現実味のある事業計画書を作成することが大切です。
また、飲食店開業では、自治体や国から補助金が受けられるケースも少なくありません。時期や地域にもよりますが、活用することができる補助金があれば資金計画にもゆとりを作れたり、その分設備投資にあてたりすることができます。
店舗改装で利用できる補助金は?申請のポイントや種類を解説>>
事業計画では、メニュー価格の設定や必要な人員の割出し、売上予測などを行ないます。「予算の関係で必要な人員が足りない」「想定以上の客単価にしないと利益が残らない」という問題が起こることも。確実に利益を出せる計画になるまで、じっくり検討しましょう。
③半年前|物件探し
物件選びは売上に大きく影響するだけでなく、これから何年も長い時間を過ごすことになる街を選ぶことです。コンセプトに沿って、物件の理想的な立地や広さを考えましょう。
立地は客層に合わせて、オフィス街、住宅地、商業地を軸に選びます。
物件探しのサポートを依頼する際には候補に考えている駅や沿線を事前にリストアップしておくことも大切です。当社でも物件探しを承っているので、お気軽にご相談ください。
物件が決まると、次はご契約、デザイン案の作成、そしてお見積りです。この流れはどの業態でも同じになります。設計から施工までの流れについては以下のページも参考にしてみてください。
店舗設計の流れを知りたい!完成までの基本的な流れをご紹介>>
④半年~2ヶ月前|基本設計
コンセプトや事業計画、物件が定まったら、店舗の内外装の設計に入ります。
基本設計は構造や電気の配線、空調といった必要な設備を大まかに決めて図面に起こす工程で、大まかな完成イメージを施主様と共有することが目的です。その後「実施設計」で、実際の工事に向けて構造や設備をより細かく決定します。
お店を設計図の上で具現化していく実施設計 基本設計との違いも詳しく解説>>
⑤2ヵ月前|内外装工事・メニュー表作成
お見積り後は、いよいよ施工の開始です。当社は設計と施工を一括して担当しているため、他の業者に施工を依頼する時間が省かれ、スムーズに施工に進むことができます。短期間で工事を行えば家賃費用を抑えることにも繋がるので、ご予算や準備状況を踏まえ、工期についてもお気軽にご相談ください。
店舗内装の工事業者選びは一貫発注できるところを選ぶべき理由!費用相場も解説>>
また、この時期までにメニューを決定し、作り方や必要な材料を決めておくきましょう。内外装の工事が始まる頃には、メニュー表も作成することが理想です。
⑥1ヵ月前|食器や備品の発注
食器はメニューや席数をもとに、料理ごとで必要な数を確認しましょう。料理ごとに提供数は異なるため、定番メニューとして売り出すものには食器を多めに揃えておくことがポイントです。
また調理器具や保管用のタッパー、バット、さらにメニュー表や伝票、レジなどの備品も、この時期に用意しておく必要があります。
食器やメニュー表などお客さんの目に入るものは特に、店舗の内装の雰囲気に合わせたデザインで統一感を図りましょう。
⑦1ヵ月~2週間前|販促活動、開業手続き
WEBサイトやSNSでのお店の情報発信、ショップカードの作成などの販促活動を開業前から進めておくことが大切です。スタッフを雇うお店では、この時期から採用活動も始めましょう。
また、このタイミングで、保健所と税務署双方での各開業に関する手続きが必要です。
保健所で必要な手続きは1つ
保健所に「飲食店営業許可」を申請し、その後店舗での検査に合格する必要があります。申請には業態ごとに異なる申請料がかかるため、注意が必要です。
静岡県における業態ごとの申請手数料や必要書類などは、以下でご確認ください。
店舗での検査は、厨房の仕上げ材や構造に関するものです。これらはいずれも保健所次第で基準が変わるので、工事前に確認しておく必要があります。
当社は施工前の段階で保健所の条件を必ず確認しているので、当社に依頼する場合は保健所での検査に引っ掛かる心配はありません。
税務署で必要な手続きは最大3つ
- 個人事業主の開業届出書
- 所得税の青色申告承認書
- 給与支払い事務所の開設届
上の3つのうち、どんな場合でも必ず提出しなければならない書類は「個人事業主の開業届出書」のみです。
ここでは事業の具体的な概要、また「不動産所得」「山林所得」「事業(農業)所得」といった取得の区分などを記入する必要があります。予め確認しておきましょう。
「所得税の青色申告承認申請書」は、青色申告をする際のみ必要な手続きです。
青色申告は、事業を行なう個人または法人がする確定申告のうち、所得の条件をクリアしたり、税務署長からの承認を得たりした際に利用できます。それらを満たさない場合の申告方法である白色申告とは異なり、青色申告では税理上の優遇を受けることができるのが特徴です。
「給与支払い事務所の開設届」は従業員を雇う際に必要な手続きになります。記入する情報は、給与支払い事務所の所在地や電話番号、役員や従業員の人数などです。
3つの手続きは、いずれも国税庁のホームページで書類のPDFを確認できます。
個人事業の開業・廃業等届出等手続|国税庁公式ホームページ>>
給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出|国税庁公式ホームページ>>
⑧1週間前|プレオープン
開業直後は特に多くのお客さんに来ていただきやすい時期です。プレオープンを行わずにお客さんを呼んでしまうとオーダーの取次や調理が効率が掴むのに時間がかかり、予想外の事態にも対応しきれない可能性も。
オープンのタイミングからひとつひとつのオーダーにスムーズに対応して良い印象を与えることは、今後のお店のリピーター作りにも繋がります。プレオープンは必ず行い、仕入れや接客、キッチン業務の実践練習を積みましょう。
プレオープン時のポイントは、満席状態を経験することです。開業前に満席の状態の営業の課題を見つけ、修正しておくことで、オープン時に多くのお客さんが来ても満足のいくサービスを提供できます。
プレオープンには同業者を呼ぶことが一般的ですが、店舗の施工に携わった業者も呼ぶのがおすすめです。当社は施工に万全を期しているものの、万が一施工関係で何かあった際、プレオープンに同席していればオープン前にすぐに調整することができます。
店舗開業の流れ、全てに寄り添います
飲食店に限らず、店舗を開業するまでの流れを予め確認しておきましょう。特に施工開始前のコンセプトやイメージづくりはオーナー様と設計・施工会社のコミュニケーションの齟齬をなくし、設計や施工もスムーズに進めるうえで大切です。
当社は設計・施工を行うだけでなく、物件探しはもちろん、コンセプトづくりから各種手続き、融資に関するサポートなども含め、開業までの全ての工程でオーナー様に寄り添っていきます。もし、開業にあたって不安な点や気になる点があれば、お気軽にお問い合わせください。理想の飲食店を、一緒に作りましょう。