宿泊施設の運営において、顧客満足度向上は常に重要な課題です。顧客満足度が高まれば、リピーターの増加や口コミによる新規顧客の獲得など、収益向上に繋がる可能性が高まります。
近年、旅行者のニーズは多様化しており、ただ宿泊するだけでなく、「その土地ならではの体験」を求める傾向が強まっています。
「その土地ならではの体験」も普通の観光スポットを巡るようなありふれたものではなく、宿泊施設のコンセプト(世界観)にゲストを没入させていく『没入型体験』がトレンドとして注目されています。
宿泊施設にとってはただ宿泊機能を提供するだけではなく、顧客ひとりひとりの好みに合わせた体験価値を提供し、顧客をファンに昇華させ、優良口コミを獲得したり、SNSでのバズりを生んだり、満足度を高めていかなければいけない時代になりました。
そこで今回は、2023年8月にオープンしたばかりの『ホテルインディゴ東京渋谷』の事例をご紹介します。さらに、顧客満足度向上に大きく貢献する共用スペースの最新トレンドや、魅力的な空間を提供するライフスタイルホテルの事例をご紹介します。
宿泊施設の空間・デザイン・体験・サービスの最新トレンド(2024年現在)
・空間を自分好みにカスタマイズできるか
画一的なデザインではなく、宿泊客のニーズや好みに合わせてカスタマイズできる空間が求められています。
①IoT(Internet of Things)を活用し、照明や空調をスマホで操作
②アメニティを事前に選択可能
③複数の種類の枕を用意
④アロマディフューザーの設置
⑤Bluetoothスピーカーの設置
⑥ゲストの興味関心に合わせた書籍や雑誌の設置
⑦アレルギーや食事制限に対応したレストランメニュー
⑧集中しやすい環境、リラックスできる環境など、複数のタイプのワークスペースを用意
・サステナビリティへの配慮
環境への配慮は日に日に重要性を増しています。持続可能性を意識した空間づくりが求められています。環境問題に関心の高い宿泊者にとって、ホテルの取り組みは宿泊先を選ぶ重要な要素となります。
①自然素材の活用
②省エネ設備の導入
③リサイクルの推進
④竹素材のアメニティの導入
これらのホテルの取り組みをゲストが体験することにより、環境への貢献を実感できるようになります。サステナビリティを追及する施設は、効率的な空調システムや照明設備の導入により、快適な室温や照明環境の提供、騒音や振動の軽減につながり、質の高いサービスと快適な滞在となり、顧客満足度向上の良サイクルにつながります。ホテルが省エネルギーや資源の有効活用に取り組むことで、運営コストが削減される結果、宿泊料金が抑えられたり、より充実したサービスが提供されたりする可能性もあります。サステナビリティへの取り組みを宿泊者に積極的に発信すること、例えば、ホテルの周辺環境や地域文化に関する情報提供、環境保護活動への参加を促すイベントなどを通して、宿泊者は新たな発見や学びを得ることができます。社会的な責任を果たしている企業として、宿泊者から高い信頼を得ることができます。
竹素材アメニティは木の温もりがあり、InstagramなどのSNS映えとも相性がいいです。
・ウェルネス(心も体も健康で幸せな状態)への意識
心身の健康を重視する傾向が強まり、ホテルでもウェルネス体験を提供する空間への需要が高まっています。
①ヨガスタジオ、瞑想スペース、スパなどの施設の充実
②自然光を取り入れた空間デザイン
③リラックスできる空間デザイン
④トレーニングジムの併設
ホテルインディゴ東京渋谷に見るゲストを自らのコンセプト(世界観)に没入させる体験とは?
2023年8月にオープンしたホテルインディゴ東京渋谷は、渋谷という街の個性を最大限に活かし、宿泊客にユニークな体験を提供しています。
音楽体験: 客室にレコードプレーヤーとレコードの貸し出しサービスを提供
ファッション体験: 人気ブランド「COTÉ MER」と「THE FAT HATTER」のアイテムをレンタルできるサービスを提供
宿泊客は渋谷のファッションを楽しみながら街を散策できます。 スタッフの制服にもこれらのブランドを取り入れ、渋谷らしさを演出しているそうです。
アート体験:レストラン「Gallery 11」で渋谷にゆかりのあるアーティストの作品を多数展示
地域探索: オリジナルの「ご近所マップ」を提供し、地域の魅力的なスポットを紹介
ホテル内散策企画:「ハチを探せ」が楽しい!
渋谷の象徴であるハチ公をモチーフにしたアイテムをホテル内で探す散策企画。シェフが作ったワッフルもあり、愛犬家、犬好き、子どもに大好評らしいです!
ゲストを自らのコンセプト(世界観)に没入させる体験を提供するポイントのまとめ
・地域との連携
・五感を刺激する
・ストーリー性
・サプライズ
・参加型
最新ライフスタイルホテルの共用スペースをご紹介
メルキュール京都ステーション:「雅楽」と「曲水の宴」をコンセプトにした空間を提供
https://mercure-kyoto-station.com/ja/
The Millennials 京都: 「眠るまでを共用部で過ごす」をコンセプトに、充実した設備の共用スペースを提供
https://www.livelyhotels.com/ja/themillennialskyoto/common/
THE LIVELY 福岡博多: 福岡初のライフスタイルホテル。「世界中から人と情報と機会が集まる場所」をコンセプトに、自由で刺激的な空間を提供
https://www.livelyhotels.com/ja/thelivelyfukuoka/
lyf天神福岡: インバウンドゲストに配慮した設計。「lyfスタイルを変えよう!」をコンセプトに、クールでクリエイティブな空間を提供
魅力的な没入型体験や共用スペースを設計するためには、施設全体のコンセプト設計が最重要です。上記のホテルを参考に、コンセプトの再構築を検討してみてはいかがでしょうか。
コリドールのご紹介
コリドールは、宿泊施設のコンセプト再構築を支援する、ホテルリブランディングを得意とする店舗設計会社です。長年の経験と実績に基づき、お客様のホテルの課題解決、収益向上をサポートいたします。お気軽にご相談ください。