飲食店の開業には、不動産取得費や店舗の内装工事費に加え、少なくとも開業後3か月分の運転資金など、約1,000万円の資金が必要です。
自己資金だけでは足りない場合、国や金融機関などから資金を調達することになります。
飲食店の開業資金調達には主に4つの方法があるので、それぞれの特徴を押さえ、ご自身に合ったスタイルで資金計画を立てていきましょう。
飲食店の開業資金|4つの主な調達方法
飲食店の開業資金を調達する方法は、大きく分けて次の4つです。
- 日本政策金融公庫からの融資
- 銀行や信用金庫からの融資
- クラウドファンディング
- 個人からの借り入れ
これらはいずれも併用することができます。それぞれの特徴を確認して利用する方法を決め、計画的に資金を集めましょう。
➀日本政策金融公庫からの融資
公的機関が設ける融資制度の中でも、飲食店の開業資金調達には日本政策金融公庫の融資が一般的です。
新規企業育成貸付として、次の支援を行なっています。
- 新規開業資金
- 女性、若者/シニア起業家支援資金
- 再挑戦支援資金
- 新事業活動促進資金
- 中小企業経営力強化資金
中でも「中小企業経営力強化金」は担保や保証人が不要で保証人探しの手間を省けるうえ、比較的融資額が高く、利率は低いので、飲食店開業時にもよく利用されています。
その他、各支援金の融資限度額や返済期間などは以下を参照してください。
②銀行や信用金庫からの融資
地方銀行をはじめ地方の金融機関の利用は、初めて店舗を経営される方にもおすすめです。融資だけでなく創業セミナーや資金計画の作成支援など、多彩な経営サービスも行なっているので、開業時の支えや学びが得られるでしょう。
ただ、融資を受けるには営業許可証が発行されていることが条件になっている場合、店舗の内装工事に融資を当てられないといった注意点もあります。ネット銀行でも資金調達できますが、パスワード管理やウイルス対策など、セキュリティ面で注意が必要です。
当社は店舗デザイン会社ですが、内装工事費用や開業資金集めに利用できる金融機関の紹介も行なっているので、ぜひご相談ください。
③クラウドファンディング
クラウドファンディングは、手軽に始められるうえ、担保がないためリスクが少ないのが魅力です。SNSなどを通じてコロナ禍でもオープン前にお店の存在をアピールでき、認知度向上にも効果があります。
支援してくれた人は未来のお客さん候補です。オープン前にお店への興味やニーズが分かるので、テストマーケティングができます。
しかし、クラウドファンディングには「成功時報酬型」と「実施確約報酬型」があり、前者では期限までに資金が集まらなければそれまでに集まった分を手に入れられません。
後者は目標金額に達成しなくても期間中に集まった金額を受け取ることができますが、このタイプを利用するには運営サイトの審査を通過することが必要です。
運営サイトの審査では、事業の実現性が重視されます。手軽にできるクラウドファンディングも、まずは綿密に事業計画を立てることが前提です。
④個人からの借り入れ
飲食店の開業時に、不動産を所有している親族や友人から開業資金を借り入れることも珍しくありません。
信頼関係があっても、融資と同様に返済義務や返済期間など、予め書面などを通じて明確に決めておくのがおすすめです。
日本政策金融公庫の審査が通りやすくなるポイント
新規事業に取り組む事業者の支援を目的とした日本政府金融公庫の融資は、民間機関よりも審査が通りやすいです。開業前の資金調達方法の中でも比較的融資を受けやすい方法だと言えます。
審査で重視される自己資金を正しく理解することで、より融資が受けやすくなるため参考にしてください。
親族からの借り入れが自己資金と見なされることがある
日本政策金融公庫では、親族関係からの資金が自己資金と認定されることも。それは、資金を「もらった」、つまり返済義務がない場合です。
自己資金が多ければ「返済能力が高い」と判断され、融資の審査が通りやすくなります。
自己資金要件がなくても、資金は貯めておこう
「中小企業経営力強化資金」には自己資金の要件がないので、資金がゼロの状態でも融資を受けることは可能です。
また、融資額の10分の1以上の自己資金が条件である「新創業融資」でも、例外的に自己資金がなくても利用することができます。
例外が当てはまる条件は、次の2つです。
- 現在勤めている企業と同業種の事業を始める
- 「認定特定創業支援等事業」を受けたうえで事業を始める
「認定特定創業支援等事業」とは、事業者が「経営」「財務」「人材育成」「販路開拓」の4つの知識を身に付けられるよう、自治体が行なっている支援セミナーです。このセミナーを受講し、証明書が交付されれば、自己資金なしでの融資を受けられます。
ただし、いずれの方法でも返済の信用度から十分な融資を受けられる可能性は低いです。仕組みとして自己資金が全くない状態から融資を受けることは可能ですが、経営者としての資質や意識の低さを疑われかねません。
自己資金の条件がない融資制度も、可能な範囲で資金を集めたうえで足りない場合に利用する手段と捉えておきましょう。
資金計画づくりのための事業計画書からお手伝いします
飲食店の開業資金を調達するには、金融機関からの融資や個人的な借り入れなど、大きく4つの方法があります。それぞれの特徴を把握し、負担の少ないやり方で資金計画を立てましょう。
当社は店舗デザインを通じてオーナー様の開業支援を行なっています。
特に詳細な事業計画は金融機関からの借入の際にも重要な審査基準なので、店舗デザインを決める段階で事業計画書作りからのサポートも可能です。
金融機関のご紹介や資金計画のご相談も承っていますので、開業前の資金調達や開業後の経営計画に関するご不明な点も、ぜひご相談ください。
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